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かき氷屋ののぼり旗の由来や意味を解説
かき氷屋ののぼり旗の由来や意味を解説
かき氷屋が軒先に掲げているのぼり旗は氷旗といい、明治時代に発令した氷製造人並販売人取締規則がきっかけでできたものです。衛生検査に合格したことを明らかにするために、官許と表記した下に、氷と産地を表記することが義務付けられていました。
大きく描かれた氷の文字に青い波しぶき、そして千鳥が描かれたのぼり旗のことを氷旗といいます。
かき氷を出すお店のしるしとして、夏場の店先でよく見かけるのぼり旗ですが、そのルーツは明治時代にまで遡ります。
現在は、かき氷を出しているお店であることを教えてくれる役割の氷旗ですが、明治時代の氷旗は、衛生検査に合格した小売業者が産地を記載して掲げることを義務付けられた、いわば営業許可証のようなものでした。
本記事では、かき氷屋ののぼり旗の氷旗の由来やデザインの意味などを詳しく解説します。
かき氷屋ののぼり旗を掲げるようになったのは明治時代
かき氷屋や、かき氷を出している飲食店の軒先に掲げているのぼり旗を、氷旗といいます。
氷旗の歴史のはじまりは明治時代です。
かき氷の歴史は古く、平安時代にはすでに特権階級の嗜好食品として存在していました。
清少納言の枕草子では、上流階級の身である清少納言がかき氷(削った氷に当時の甘味料をかけたもの)を貴重なものとして食べている記述があります。
氷が貴重だったのは、江戸時代に入っても変わりませんでした。
初代将軍徳川家康は、夏場になると富士山から氷を運搬させており、加賀藩前田家は将軍への献上のために雪を貯蔵して製氷し、江戸まで運んでいました。
庶民だけでなく特権階級にとっても、氷は贅沢品だったのです。
一般市場に氷が出回るようになったのは、明治2年以降です。
幕末〜明治の洋食文化導入に大きく貢献した中川喜兵衛が函館の天然氷を輸送し、東京での販売に成功したことをきっかけに、氷が一般に出回るようになりました。
しかし、当時販売されていた氷のなかには、伝染病の原因となる不衛生な品質のものもあり、粗悪な氷を販売する業者が問題になりました。
そこで当時の内務省は、明治11年12月4日に氷製造人並販売人取締規則を発令し、氷販売者や氷水店に対して、衛生検査を実施。
検査に合格した場合は、販売者や生産地を示したのぼり旗を掲げることを義務としました。
かき氷屋ののぼり旗の由来
かき氷屋ののぼり旗である氷旗は、元来、衛生検査に合格した業者の営業許可
証として掲げるものでした。
当時の氷旗は、官許という文字の下に氷と表記し、函館など生産地を示したものでした。
これが現在の氷旗の原型です。
その後、氷旗のデザインを統一化する製氷メーカーが現れ、その氷旗を小売業者に配布するようになりました。
結果、同じような氷旗が全国に展開していき、今のような形になったのです。
かき氷屋ののぼり旗のデザインが持つ意味
お店によって多少のバリエーションはありますが、一般的な氷旗のデザインは、波しぶきを背景に、大きな赤い文字で氷と染め抜かれ、波の上を千鳥が飛んでいる(波千鳥)、というものです。
氷製造人並販売人取締規則によって氷の産地を表記した旗を掲げることが義務付けられた当初、官許・氷・函館といったように、氷の文字と産地を表示しただけの旗が大半でした。
氷旗に波しぶきが登場したのは、中川嘉兵衛が販売していた天然氷の旗がきっかけです。
中川嘉兵衛は函館・五稜郭外堀で切り出した天然氷の氷旗に、函館氷や天然氷の文字に龍が舞う図柄をデザインして販売したものを龍紋氷と呼んでいました。
また、関西で函館氷を販売していた山田啓介の会社の龍紋氷室の氷旗にも、氷の文字と産地の下に波模様が描かれていました。
函館氷が海を渡って運搬されていたことから、氷の文字の背景に水流模様を描く原型になったといわれています。
その後、波しぶきに千鳥が組み合わされるようになり、日本古来よりある伝統的なデザインの波千鳥になりました。
波千鳥は涼しげな印象を与えるだけでなく、夫婦円満や家内安全を表す縁起の良い図柄でもあります。
大きな氷の文字に清涼感のある波千鳥を施したデザインは、明治初期の当時としては、最先端のデザインとして評価されていました。
【まとめ】かき氷屋ののぼり旗は官許氷旗がルーツになっている
かき氷を出すお店の前に掲げられているのぼり旗の氷旗のはじまりは、明治時代に発令された氷製造人並販売人取締規則がきっかけです。
氷製造人並販売人取締規則によって実地された、衛生検査に合格した小売業者に氷の産地などを表記して掲げることを義務付けられていた官許氷旗がルーツです。
また、現在の氷旗のデザインも、明治時代に原型が出来上がっており、大きな氷の文字の背景に描かれた波しぶきは、中川嘉兵衛の販売していた函館氷の氷旗の図柄である龍紋氷がはじまりだといわれています。
大きな氷の文字に波千鳥の特徴的なデザインは、現在でも夏の風物詩として親しまれています。
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